数年前から計画していた「終の棲家は里山の古民家で」という夫婦の想いは今年からスタートです。築一五〇年以上の古民家、約四ヶ月かけて基本の改修工事は終わりました。しかし、まだ色々と手を入れていく所ばかりで、これから何年掛りになりましょうか・・・・それも又楽しそうです。
古民家には、農家、漁家、町家、侍屋敷などがありますが、昔この家は藁葺き屋根の農家で、屋内に土間があり、田の字型の間取りの典型的なものだったようです。 囲炉裏もあるのでそのままにしています。囲炉裏の煙でじっくり燻されて黒光りした柱や土壁、ふすま建具などは、長い時を経て味のある色に変化して趣きがあります。 古民家の特徴である太い梁には強度の高い松、他に欅、栗、檜などが使用され、古民家は二百年から三百年は持つように作られているとのこと。ということは、この家はこれから先も百年は大丈夫ということでしょうか。
改修中に和釘(わくぎ)が出てきました。古民家は金具や釘を使わずに組まれていますが、梁を補強したりするのに一部使われています。「和釘」は焼き入れをした鋼鉄でつくられ、きわめて長い寿命が期待できます。世界最古の木造建築である法隆寺で使われていた釘は「和釘」で、一千年余経過しているにもか かわらず、その役目を果たしていたそうです。
ふすま建具に貼ってある紙をはがすと、古い文書が出てきました。明治の日付の請求書で「西彼杵郡長 朝長東九朗」と名前が書いてあります。「郡長」とは、明治十一から大正十五年まで郡に置かれた地方官吏とのことで、何か金銭の請求書のようです。それにしても昔の人の文字の達筆さには感心します。
明日は天気もよさそうなので少し畑仕事をしようと思っています。里山の古民家で田舎暮らしの真似事は進行中です。
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